「 携帯の愚を再現?日本のIT業界はガラパゴスか」iza より)

 日本のいびつな携帯文化を「愚」と言い切っていることは痛快ですが、 すべてが「愚」と言い切るのは、一応世界から「携帯先進国」と 評価されている事実からすれば言い過ぎかなとは思います。 しかし、全体的に正常な進化ではないことは常々事実だと思っていますし、 それを「ガラバゴス島進化」とは言い得て妙でしょう。
IT競争力のある国を見ると、軍事技術と二人三脚のイスラエル、 小国ゆえ背水の陣のアイルランド、人海戦術の中国、 CMMIレベル5・低コスト・英語圏のインド-など、 いずれも特化を極めた国ばかりだ。
 しかし、上記に列挙されている国々も決して、 特殊ではない環境の元に育ってきているとは言い難いように思います。
 中東という政情不安定な地域にあって、国家予算が軍事に集中するイスラエル、 世界一の人口と安い人件費が元に人海戦術が採れる中国、インド、 同じ人海戦術を採る上で差別化ポイントとして 高い CMMI や英語圏という条件がインドには加わるだけのように思います。 いずれも「ガラバゴス島進化」と言えなくはないでしょう。
 日本が妙なのは国際的価値を無視した法制度が結びついていることが問題であって、 決して技術的に IT 競争力がないとは思いません。
ずば抜けてこそいないが「平均的な優秀さ」と「仕事の緻密さ」を持つ日本。 若いエンジニアは、視点を変えれば、いくらでも国際競争力を高めることができることに気付いて、 マクロな視点で仕事に励んでほしい。 ITは、国境を越えやすく淘汰(とうた)されやすいが、得意分野さえ極めれば何も怖くない。
 結局帰結するところは、ガラバゴス島進化であったとしても、 もっとも大事なことは島の外に出て順応できるかと言うこと。 また島の外での戦い方を心得ているかと言うこと。
 それは IT 業界に限ったことではありません。 ではいったい根本的な問題は何かというと、 「国際感覚=外国語がしゃべれること」と勘違いしている 日本人の固定観念ではないかと思うのです。