山田祥平の Re:config.sys 「 SIM ロックフリーをキャリアに強制して意味があるのか」PC Watch より)

 総務省が携帯キャリアに対して、 SIM ロック解除 等を義務化することが決まったそうです。

 これに対して、たとえ外国へ行ったときも常識的な料金でそのまま利用できるなら SIM ロックフリーでなくてもいいと言う理屈もわかるのですが、 携帯大手三社が間違い探しのようなほぼ横並びのサービスを提供して、 特に日本では iPhone などの人気機種を 2 年縛りをもれなくつけて特価販売する限り、 望まれるようなスピードで現状が変わることもないこともまた事実。

 またせっかく気に入って購入し、なんの不満もない端末を、キャリアが買い換え需要を定期的に喚起するために、 オペレーティングシステムなどの供給を打ち切ったりされるのは、 正直、気分のいいものではありません。
 そう考えると端末は端末で最低でも 3 年くらいはしっかりサポートしてくれるメーカーの製品を選び、 回線は安価で安定してしっかりしたサービスを提供するキャリアを選んで使えるなら それに越したことはないと考えるのもまた一つのよい未来だと思います。

 しかし、一方で、ただただ安いだけの端末や サービスだけが氾濫することにならないかということも気になります。
 しっかりした見識を持って端末とサービスを選べばいいという話もあるのですが、 「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉があるように、 極論ですが「どれもはずれやん… orz 」なんて状況になるのも勘弁願いたいです。

 他方、ただ安価で簡単に…と言うことだけを追求するだけと言うのもどうかと思います。
 今現在も教育そっちのけでメールだ!ウェブだ!とあおり立てて、 高性能なコンピューターデバイスを売りたくった挙げ句、 匿名をいいことに好き放題したり、世界に繋がっている意識なしに写真などをばらまいてみたり、 プライバシー情報を不用意に持ち出したりで、 それらに対して今度は過度なセキュリティーが行き渡ったたり、 本来、正しく使える人が享受できるはずの利便性すら制限されてしまうようなことも起こっています。

 ま、何もしなければ何も変わらないですし、動くことで何かを得れば失うものも出てきます。 なんの想像力も働かさずむやみに動くこともそうですが、失うものばかりを見て動かない、 これもまた愚挙です。
 きっと SIM ロックフリーを義務化することで何が変わるとは言いません。ただ何かはわかるでしょう。 だから意味はないとも思いません。 しっかりしたビジョンと臨機応変な柔軟性を持って、下心なく純粋にハッピーと考える未来に向かうのなら、 まずは一歩踏み出すことに関しては、個人的には大いに賛成です。

「 スマホの高額キャッシュバックは SIM ロック/ 2 年縛り/自動更新が原因、総務省が指摘。改善を提案」Engadget 日本版 より)