大西 宏のマーケティング・エッセンス 「 スパコンがパソコンに負けたそうだ」

 そろそろほとぼりも冷めたと思われるので、 あの事業仕分けというパフォーマンスで取りだたされたスパコンの話題を うちでもしてみます。
 上記のコラムからの引用です。
マスコミは、なぜ蓮舫 議員の質問シーンやノーベル賞受賞者の抗議シーンに比べると、 この長崎大のスーパーコンピュータについては、 あまり取り上げられたという印象がなく不思議でなりません。
 それは単純に長崎大のスーパーコンピュータの話題を取り上げても、 視聴率も獲れなければ、発行部数も稼げないから。 数獲りたきゃおもしろそうなところだけ掻い摘んで徹底的にデフォルメできなきゃ。。。 と言う不毛な回答はさておき… (^^;>

 あの事業仕分けでやり玉に挙がった「国産スーパーコンピュータ」なる代物、 そもそも何を持って国産というのかが謎。
 その方式設計からデザイン、生産まで国産のチップなんていくつありましたっけ? スカラー型でも汎用演算装置は I 社や A 社製のチップを並べるだけでしょう? ベクトル型だとしても N 社のチップを並べるだけなら、何を国産するの? 新しい内部バスを考えましたとか、I/O のつなぎ方考えましたとか、 そんな重箱の隅つつきたくった末、まさか国産なんて言おうというんじゃないですよね?

 だいたいにして、少なくとも米国でスパコンを開発する場合、 あくまでビジネスというのが大前提にあって、 国からの発注のほかにも売れるように「世界一」と言う看板取りにくるのであって、 国家予算というすねにかじりついてしゃぶり尽くして開発しようなどという ドラ息子的モチベーションではありません。
 日本が金出さないんなら、他国からでももぎ取ってやろうとなぜ思わないのか?

 そもそもコンピュータ技術においてハードとソフトは車の両輪。 ハードであるスパコンが世界一でなければ、世界一のアルゴリズムで結果を出せばいいこと。 税金でぬくぬくと費用も顧みずに研究できなくなるからといって、 まだ無限の可能性を秘めた未来の技術者のためという美旗を立てて、 税金から費用がもらえなくなるなら未来がないと決めつけないでいただきたい。

 スパコンの開発をビジネスベースで考えていない、 もしくはビジネス感覚がまったくない今の学者様たちがわめいてるようにしか思えず、 まがりなりにも情報工学の学位を持つ端くれとしては、 後進に対してもみっともないので二度とやめていただきたいと思います。

ある女子大教授のつぶやき 「円周率の計算」